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英雄たちの探求 (魔術師の環 第一巻)
英雄たちの探求 (魔術師の環 第一巻)
英雄たちの探求 (魔術師の環 第一巻)
Ebook136 pages12 minutes

英雄たちの探求 (魔術師の環 第一巻)

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About this ebook

「「魔術師の環」には、直ちに人気を博す要素がすべて揃っている。陰謀、敵の裏をかく策略、ミステリー、勇敢な騎士たち、深まる人間関係、失恋、いつわりと裏切り。すべての年齢層を満足させ、何時間でも読書の楽しみが続く。ファンタジーの読者すべての蔵書としておすすめの一冊。」
--ブックス・アンド・ムービー・レビューズ、ロベルト・マットス

アマゾンで5つ星の評価を400件以上獲得した、#1ベストセラー!
ベストセラー作家モーガン・ライスが世に放つ輝かしい新ファンタジー・シリーズ。「魔術師の環」第一巻「英雄たちの探求」は、リング王国のはずれにある小さな村出身の14歳の少年が成人していく過程を中心に展開する壮大な物語。ソアグリンは4人兄弟の末っ子、父親からは最も疎んじられ、兄たちにも嫌われているが、自分が他の者とは異質であることを感じていた。偉大な戦士になって王の軍団に属し、峡谷の反対側に棲む生き物の群れからリングを守ることを夢見ていた。成長し、国王の軍団、リージョン入隊の試験を受けることを父親から禁じられた時も、ノーという返事を受け入れず、宮廷へ赴いて受け止めてもらう決意で自ら旅に出た。
一方、宮廷では王家の家族のドラマがあり、権力闘争、野心、嫉妬、暴力、そして裏切りがはびこっていた。マッギル国王は自分の子どもたちから後継者を一人選ばねばならない。王家の権力の源である運命の剣は、未だ触れられることなく選ばれし者を待ち続けている。よそ者としてやって来たソアグリンは、受け入れられようと、そして国王のリージョンに入隊しようと奮闘する。
ソアグリンは、自分が特別な才能を授かり、自分でも理解しがたい力が潜んでいること、そして特別な運命を定められていることに気付く。彼はまた、あらゆる障害にもめげず王女と恋に落ちるが、二人の禁じられた関係が深まるにつれ強力なライバルの存在に気付く。自分の持つ力を理解しようとソアグリンがもがくなか、国王の魔術師は彼を庇護し、峡谷、そしてドラゴンの棲む国も越えた遠い地にいる、ソアグリン自身も知らない彼の母親のことを教える。
ソアグリンが危険を承知で望んでいる戦士になるためには、訓練を最後まで受けなければならない。だがその試みも、王室を舞台にした陰謀や策略の渦中に置かれ、中断させられる可能性が出てきた。恋愛も、自分の立場も破滅に追い込まれるかも知れなかった。そして王国もまたそうした動きに巻き込まれる。
物語世界の構築と人物設定に磨きをかけた「英雄たちの探求」は、壮大な冒険の物語。友達、恋人、ライバル、求婚者、騎士とドラゴン、そして陰謀、策略、成年、失恋、欺瞞、野心と裏切りを描く。栄誉、勇気、運命、そして魔術の物語である。忘れることのできない世界へ読者を引き込む、すべての人を魅了するファンタジー。82,000語。
注:読者の方々のご指摘により、本書の編集・原稿整理を行いました。ファイル版の本書では誤植および文法上の誤りはすべて訂正されています。
シリーズの第三巻~第十二巻も発売中です!
「冒頭から読者の注意を引いて離さない・・・テンポが速く、始めからアクション満載のすごい冒険がこの物語のストーリー。退屈な瞬間など全くない。」パラノーマル・ロマンス・ギルド(「変身」評)  
Language日本語
PublisherMorgan Rice
Release dateSep 2, 2015
ISBN9781632910141
英雄たちの探求 (魔術師の環 第一巻)

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    英雄たちの探求 (魔術師の環 第一巻) - モーガン・ライス

    英雄たちの探求

    (魔術師の環 第一巻)

    モーガン・ライス

    モーガン・ライス

    モーガン・ライスは、ヤングアダルト・シリーズ、「ヴァンパイア・ジャーナル(全10作)」の著者でベストセラー作家。同作品は6ヶ国語に翻訳された。

    モーガンの作品には、未来を舞台に世紀末後を描いたアクション・スリラー、「サバイバル・トリロジー」があり、ベストセラーとなった「アリーナ1」、「アリーナ2」はその最初の二冊。

    作品には他に、#1ベストセラーとなった壮大なファンタジーシリーズ「魔術師の環」があり、現在10作目まで発表され、続々刊行予定。

    読者からのお便りを待っています。www.morganricebooks.comをぜひご覧ください。

    モーガン・ライス 賞賛の声

    「ライスは設定を単純に描き出す次元を超えた描写で最初から読者をストーリーに引きずりこむ・・・とても良い出来栄え、一気に読んでしまう。」-ブラック・ラグーン・レビューズ(「変身」評)

    「若い読者にぴったりのストーリー。モーガン・ライスは興味を引くひねりをうまく利かせている・・・新鮮でユニーク、ヤング・アダルト向けの超常的な物語に見られる第一級の要素を持った作品。シリーズは一人の少女を中心に描かれる・・・それもひどくとっぴな!・・・読み易くて、どんどん先に進む・・・ちょっと風変わりなロマンスを読みたい人におすすめ。PG作品。」-ザ・ロマンス・レビューズ(「変身」評)

    「冒頭から読者の注意を引いて離さない・・・テンポが速く、始めからアクション満載のすごい冒険がこの物語のストーリー。退屈な瞬間など全くない。」-パラノーマル・ロマンス・ギルド (「変身」評)

    「アクション、ロマンス、アドベンチャー、そしてサスペンスがぎっしり詰まっている。このストーリーに触れたら、もう一度恋に落ちる。」- vampirebooksite.com(「変身」評)

    「プロットが素晴らしく、特に夜でも閉じることができなくなるタイプの本。最後までわからない劇的な結末で、次に何が起こるか知りたくてすぐに続編が買いたくなるはず。」-ザ・ダラス・エグザミナー(「恋愛」評)

    「トワイライトやヴァンパイア・ダイアリーズに匹敵し、最後のページまで読んでしまいたいと思わせる本!アドベンチャー、恋愛、そして吸血鬼にはまっているなら、この本はおあつらえ向きだ!」- Vampirebooksite.com(「変身」評)

    「モーガン・ライスは、才能あふれるストーリーテラーであることをまたもや証明してみせた・・・ヴァンパイアやファンタジー・ジャンルの若いファンほか、あらゆる読者に訴えかける作品。最後までわからない、思いがけない結末にショックを受けるだろう。」-ザ・ロマンス・レビューズ(「恋愛」評)

    モーガン・ライスの本

    魔術師の環

    英雄たちの探求(第一巻)

    王の行進(第二巻)

    ドラゴンの饗宴(第三巻)

    名誉の闘い(第四巻)

    栄光の誓い(第五巻)

    勇者の進撃(第六巻)

    剣の儀式(第七巻)

    武器の授与(第八巻)

    呪文の空(第九巻)

    盾の海(第十巻)

    サバイバル・トリロジー

    アリーナ1:スレーブランナー(第一巻)

    アリーナ2:(第二巻)

    ヴァンパイア・ジャーナル

    変身(第一巻)

    恋愛(第二巻)

    背信(第三巻)

    運命(第四巻)

    欲望(第五巻)

    婚約(第六巻)

    誓約(第七巻)

    発見(第八巻)

    復活(第九巻)

    渇望(第十巻)

    オーディオブックで、「魔術師の環」シリーズを聴こう!

    こちらでお求めになれます:

    iTunes

    Copyright © 2012 by Morgan Rice

    All rights reserved.

    1976年米国著作権法で認められている場合を除き、本書のいかなる部分も、著者の事前の許可を得ることなく複製、配布、配信すること、またはデータベースもしくは情報検索システムに保管することは、その形式、方法のいかんを問わず禁じられています。

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    本書はフィクションであり、作中の名称、登場人物、社名、団体名、地名、出来事および事件は著者の想像または創作です。実在の人物・故人とは一切関係ありません。

    目次

    第一章

    第二章

    第三章

    第四章

    第五章

    第六章

    第七章

    第八章

    第九章

    第十章

    第十一章

    第十二章

    第十三章

    第十四章

    第十五章

    第十六章

    第十七章

    第十八章

    第十九章

    第二十章

    第二十一章

    第二十二章

    第二十三章

    第二十四章

    第二十五章

    第二十六章

    第二十七章

    第二十八章

    「王冠をいだく頭は、ついに安らかに眠るということがない。」

    —ウィリアム・シェークスピア

    ヘンリー四世、二部

    第一章

    少年はリング(環)の西王国の低地でもっとも高い丘に立ち、北に向かって最初の太陽が昇る瞬間を見つめていた。らくだのこぶのようにうねり、広がる緑の丘が、上下しながら谷や峰へと連なるさまを、見える限り遠くまで。昇る日が放つ灼けるようなオレンジ色の光が朝もやの中にとどまり、きらめいて、光に魔法をかけているようで、それが少年の気分と調和していた。少年がこれほど早く起き、家からこれほど離れた場所まで出かけてくるのはめずらしい。 そしてこれほど高い場所に登るのも。父の怒りを買うことはわかっていた。だがこの日はそんなことは気にならなかった。今日は、この14年間彼を押さえつけてきた無数のきまりや仕事を無視した。いつもとは違う日だからだ。彼の運命がやってきたのだ。

    マクレオド族が住む南の地方、西王国のソアグリン。ソアと呼ばれるのを好むことで知られていたこの少年は、4人兄弟の末っ子、父親からは一番嫌われていた。ソアはこの日が来るのを予想し、一晩中起きていたのだ。寝返りを打ち、目をかすませながら、最初の太陽が昇るのを心待ちにしていた。こんな日は数年に一度しかやってこない。そしてそれを逃したら、この村に埋もれたまま、一生父親の羊の群れを世話しながら暮らす運命にあるのだ。考えただけで耐えられないことだった。

    徴兵の日。それは軍隊が村々を勧誘して回り、王の軍団、リージョンの新兵を選ぶ日だった。ソアはそれだけをずっと待ち望んできた。彼にとって人生とはただ一つ、2つの王国中最高のよろいを身にまとい、選りすぐりの武器を帯する国王の精鋭部隊、シルバー騎士団に入団することだった。まず14歳から19歳までの従者の集団であるリージョンに入らなければシルバー騎士団に入団することはできない。そして貴族や有名な戦士の息子でない限りリージョンに入る方法はなかった。

    徴兵の日は唯一の例外だった。何年かに一度、リージョンの人数が少なくなってくると、国王の兵隊が新しい入隊者を求めて国中探し回るのだった。平民からはほとんど選ばれないことを誰もが知っていた。そして実際にリージョンに入隊する者は更に少ないことを。

    ソアは立ち尽くし、何か動きがないかと地平線を一心に見つめていた。シルバー騎士団が、この、村へと続く唯一の道を通ることはわかっていた。自分が最初にそれを見きわめる者でありたいと思った。連れてきた羊たちは、山を下りて草がもっと上等の低地に連れて行けとばかりに、周りでうるさく、不平がましい声を一斉にあげて抗議し始めた。ソアは雑音と悪臭を締め出そうとした。集中しなければならない。

    何年もの間、羊の群れの世話をし、気にもかけてもらえず重荷ばかり背負わされる、父親や兄たちのしもべとして仕えてきた日々。それを耐えうるものにしてくれたのは、いつかこの地を離れるのだという思いだった。いつか、シルバー騎士団がやってきて、自分を見くびっていた者たちを驚かせ、選ばれる。素早い動きとともに、彼は騎士団の馬車に跳び乗り、全てのことに別れを告げる。

    ソアの父親はもちろん、自分のことを真剣にリージョンの候補として考えてくれたことなどない。実際、何かしらかの候補として考えたことさえなかった。代わりに、父は自らの愛情と注意をすべて3人の兄たちに向けていた。一番上の兄は19歳で、他の兄たちはそれぞれ1歳ずつ離れていた。ソアは一番下の兄とも3歳も離れていた。皆、年が近かったためか、それとも互いに似通っていてソアだけが似ていなかったためか、3人はいつも一緒で、ソアの存在など認めてもいないふうだった。

    そのうえ、彼らはソアよりも背が高く、体格も良く強かった。ソアは、自分の背が低くはないのはわかっていたが、彼らと並ぶと自分が小柄で、筋肉質の脚も彼らのオーク樽のようなそれに比べればかよわい気がしていた。父親は違いを縮めようとするどころか、むしろそれを楽しんでいるようにさえ見えた。兄たちは家に残して鍛え、その間ソアには羊の世話をさせ、武器を研がせる。話に出たことはなかったが、ソアが出番を待つばかりの人生、兄たちが立派な功績を挙げるのを見ているだけの人生を送ることはいつだって理解していた。父や兄たちが自分たちの思い通りにするのであれば、ただそこに居て、この村に飲み込まれ、家族が要求する助けを与えるのがソアの宿命だった。

    もっと悪いことには、兄たちが皮肉にも彼に脅威を感じ、恐らく憎んでもいるのをソアは感じ取っていた。兄たちが自分を見る視線や仕草の一つ一つにそれが見て取れた。どうしてかはわからないが、ソアは彼らに恐れや嫉妬のような何かを感じさせた。 それはたぶん、彼が兄たちとは違っていて、似てもいなければ、話し方にも兄たちの独特の癖がなかったからであろう。着るものさえ違っていた。父は紫や緋色のガウン、金箔を施した武器など、一番良いものを兄たちのために取ってしまい、ソアには最も粗末なぼろの服しか残されていなかった。

    それでも、ソアは衣服をぴったり自分に合わせるやり方を見つけ、仕事着の腰に帯を巻いたりして、ある物を最大限に使っていた。夏になったので袖を切り、そよ風が引き締まった腕を撫でていく。そのどれもが、一張羅のぼろ麻のズボンや、すねまで紐で編み上げる粗末な革のブーツに似合っていた。兄たちの靴の革にははるかに及ばないものの、きちんと使えるようにしていた。服は典型的な羊飼いのものだった。

    しかしソアの外見はそうではなかった。背が高くほっそりとしていて、気高く誇らしげなあご、高い頬骨や灰色の目は、退役した戦士のようだ。まっすぐな茶色の髪は耳を過ぎた辺り、またその後ろまで波打ち、眼は光を受けた小魚のようにきらきら輝いていた。

    兄たちは朝も寝ていることを許され、食事もたっぷり与えられたうえで最高の武器と父親の祝福とともに選抜に出かけるのであろうが、ソアは行くことさえ認められないだろう。ソアは、一度父親とその問題について話そうとしたが、うまくいかなかった。父は即座に話を打ち切ったため、その後は何もしていない。まったく不公平だ。

    ソアは、父が用意した宿命を拒む決心を固めた。国王の軍団が見えてきたら、家に走って戻り、父と対決し、父の意向に関わらず軍に自分の存在を知らしめるつもりだ。他の者と同様、選抜に望むのだ。父は止めることができないだろう。そのことを考えると胃が締めつけられるような気がした。最初の太陽が高く昇り、二番目の太陽が昇り始める時、紫色の空に一筋の光を放つミントグリーンの色が見えた。軍団だ。

    ソアはまっすぐ立ち上がった。衝撃で髪が逆立っている。地平線にうっすらと馬車の輪郭が現れた。車輪がほこりを空に舞い上げながら。ソアの鼓動が速くなる。2台目だ。金色の馬車が太陽にきらめくのがここからも見える。水中から飛び跳ねる銀色の魚のようだ。

    12台目を数えるころには、ソアは待ちきれなくなってきた。動悸がして、羊の存在を生まれて初めて忘れた。ソアは振り向くと丘をころげながら下りた。自分のことを知ってもらうまで決してあきらめないと心に決めた。

    *

    ソアは止まって息を整えようともせず、丘を走り下り、木々の間を抜けていく。枝でひっかかれても気にも留めない。空き地まで来ると目の前に広がる村を見下ろした。平屋の、白土でできたわらぶき屋根の家がひしめく穏やかな田舎町。そこには数十軒の家庭があるだけだ。煙突から煙が上る。ほとんどの者がもう起きてきて朝食の準備をしている。のどかな土地だ。国王の宮廷からは馬で一日はかかる距離で、立ち寄ろうと思う者もいない。西王国の歯車の一つに過ぎない、リングの端に位置する農村だ。

    ソアは村の広場まであともう少し、ちりを蹴り上げながら駆け下りて行った。鶏や犬がソアをよける。湯が沸騰する大がまの前にしゃがんでいた老女がなじった。

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